「ワイヤー交換なし」で超簡単にブレーキの引きを軽くする。引きが重いとお悩みのアナタに

ロードバイクにしばらく乗っていると感じるのが、ブラケット部分やブレーキの握り。もう少し浅く持ちたい、深く持ちたい、と色々試行錯誤したり、試乗車や仲間内のバイクを触ってみるなかで、

「あれ、私のバイクのブレーキの引き、重くない?」

というように感じたことはないでしょうか?

なぜこのブレーキの引きが重いのかといえば、ワイヤーの取り回しだったり、長さだったりワイヤー交換による改善を紹介しているものがほとんど。

ただ、ワイヤー交換は面倒くさい…しかも、素人がするには長さをどうやって決めるのかが難しい。なにより費用が掛かるしなぁ…とお困りのアナタ。

ブレーキの引きというものはワイヤーの取り回しだけで決まるものではありません。簡単なセルフメンテナンスで、ブレーキの引きを軽くすることができますので、説明していきます!

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ブレーキワイヤーとキャリパーブレーキの仕組み

そもそもブレーキングの際に起こっている動作は

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STIレバーからワイヤーが引っ張られる
②引っ張られたワイヤーがアウターケーブル内を動く
③ブレーキに固定されていたワイヤーがブレーキを引っ張る
④ブレーキが動いてシューをリムに押し当てる
(⑤ブレーキシューとリムの摩擦によって減速が始まる)

という動作に分かれています。

そして、ブレーキの引きの軽さが何で決まるのかというと、これらの項目の中でどれだけの抵抗が発生しているのか、ということです。

アウターワイヤーを長くすれば、それだけアウターとインナーケーブルの摩擦抵抗を長く受けますし、急なカーブを描くようなワイヤリングだとその分摩擦抵抗も増えてしまいます。

ケーブルワイヤリングで改善できるのは②③の項目ですが、意外とみんな④の「ブレーキの動き」についてはスルーしがちです。

では、実際にブレーキの動きについて、どうやって引きを軽くするのか説明していきます。

 

ワイヤー交換なしでブレーキの引きを軽くする

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シマノの9000世代以降のキャリパーの場合、ブレーキの際にキャリパーブレーキが動くのは主に

①左右アームを動かすローラー部分
②左右アームのスプリング部分

になります。この部分の抵抗を減らして、スムーズに動かしてやればいいわけです。

キャリパーブレーキのローラー部分

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キャリパーブレーキのローラー部分はタイヤ・ブレーキシューからかなり近く汚れやすい場所でもあります。

ローラーも汚れやゴミなどがないフラットな面なら動きもスムーズですが、ここに汚れが溜まっていると当然動きにくくなるわけです。しかしながら、普段は隠れているので意識的に見ないと気づかない場面。普段メンテナンスや洗車の時から、しっかりと確認してあげるようにしましょう。

では、いざクリーニング!

まずはパーツクリーナーで綺麗に

キャリパーブレーキを外してクリーニングできればそれに越したことはないですが、フレームについたままでも十分メンテナンス可能です。

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そのままだとやりにくいので、まずはホイールを外して、STIレバーを握るなり話すなりしてローラー部分の動きを確かめます。

しっかり走っているようであれば大概この部分は汚れていますので、まずはパーツクリーナーで全体の汚れをざっと落としたのち、ローラー部分・またその動く面をノズルヘッドで落とします。

ざっと汚れが落とせたら、STIレバーを深く握ってローラーが見えるようにしましょう。パーツクリーナーである程度汚れは浮いているはずなので、ウエス(ボロ雑巾・古着)で汚れを取っていきます。

(このとき、レバーをはなして指をブレーキに挟まないように要注意です!)

ずっとレバーを握り続けるのは大変なので、慣れないうちは太めのゴムや結束バンド、マジックテープなどでレバーを引いた状態で固定させておくとやりやすいかと。

ということで、きれいになりました。

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最後に潤滑スプレーを塗布して完了

クリーニングだけでももちろん動きは良くなりますが、さらにもうひと手間。金属部品なので、最後に軽く潤滑スプレーを塗布してあげましょう。ここにグリスを使うとその粘性の高さがベタベタと汚れを拾ってしまうので、サラッとした潤滑スプレーがベストです。

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一般的なのは5-56ですが、個人的にはAZの潤滑スプレーが大容量&効き目もばっちりだし使うシーンも多いのでオススメ。あ、お金のある人はWAKOSのラスペネ買ってください。笑

また、ローラー面だけでなく左右ピポットの部分にもシュッと染み込ませてあげることで、動きの良さにつながります。ひとしきりスプレーした後は、ブレーキ全体をウエスでサッと拭いて表面についた不要なオイルやパーツクリーナーを落としてあげれば完璧です。

スプリングを弱めるのはNG

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ブレーキの動きを軽くして引きも軽くなるんだったら、一日くらいギューッとキャリパーを握りっぱなしにしてスプリングを弱めたら良くない?

と、思うかもしれませんがこれ、NGです。(僕も思ってました)

シマノコンポーネントって本当によくできていて、このスプリングにしても、引きが軽すぎず重すぎずという絶妙なバランスの強さに仕上げられています。

使っていくうちに多少は反発力の低下がでてくるかもしれませんが、このスプリングを極端に弱くへたらせてしまうと、シューが戻らない、ふにゃっとした安定感のないブレーキタッチになってしまいます。

 

 

いかがだったでしょうか?

ロードバイクのクリーニングはどうしてもフレームやホイール、チェーンなどわかりやすい部分に目が行きがちですが、こういった細かい部分もきっちりクリーニングしてあげることで、コンポーネントの性能を最大限発揮してあげることができます。

シマノ製品の場合、各製品ごとのユーザーマニュアルがインターネット経由で簡単にダウンロードできますので、取り付けなどの動きを見てどのような構造をしているのかな?と考えてみるのも面白いですよ。

とはいえなにより基本に忠実に、メンテナンスをしっかりしてあげることが大切です。それでは!