ロードバイクにおけるリムブレーキのメリット・デメリット「必要十分?調整は?無くなる?」ショップ&選手目線から答えるよ

GWも終わりに差し掛かってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

前回の記事(DISCブレーキ編)からの続きです。

では、早速行きましょう。

リムブレーキの良い点

メーカー技術の集大成

今各メーカーはこぞってディスクブレーキの開発にいそしんでいるわけですが、リムブレーキにはこれまで積み重ねてきた技術が詰まっています。

「リムをブレーキで挟んで摩擦力で止める」というフレーム構造に対して、長きに渡って各メーカーは鎬を削っていたわけです。

それこそクロモリフレームからアルミフレーム、カーボンに変わっていく数十年間もの間…

↓ハイエンドモデルこと2013 Laperre Xelius EFI Ultimate

 ラピエールは中堅ブランドという立ち位置だと思いますが、性能は必要十分

これはゲームのハード交代に置き換えると分かりやすいと思います。ゲームハードが発表されて初期のソフトは内容のボリュームが少なかったりします(DSで言うニンテンドッグスとか、ポケモンレンジャーとか、、、)

これが後発のモノだと、かなり内容が詰まっていたりゲームハードの限界を攻めている作品が多いです。(同じDSというハード・ポケモンというシリーズでも、初期に出たダイヤモンド・パールと最後発のブラック2・ホワイト2は内容が詰まっていますよね)

↓今は亡きチューブラー仕様・シルバーリムのCampagnolo EULUS。

いつの時代の奴なんだこれ?というレベルで歴史が詰まってます。

今のリムブレーキは市場にある最後のリムブレーキバイクと言われていますが、その分長年にわたって培われてきたメーカー技術が詰まっています。

つまり一番性能が良いわけです。極端に言ってしまえば、これ以上性能の良いリムブレーキバイクは出ません。

価格に対して性能が良い・軽い

↑の内容と共通しますが、価格に対するコストパフォーマンスはリムブレーキの方が良いです。これまでの積み重ねがあるわけですから。

ゲームハードの話をしましたが、今まさにプレステ4とプレステ5がこのリムとDISCブレーキの関係に当てはまります。

プレステ4もマイナーチェンジやアップデートが繰り返され性能が上がっているにも関わらず、価格は発売当初よりお得になっていますよね。

ロードバイクはプレステと違って新しい製品(ソフト)にそこまで大きな差が無い(乗り手の技量が問われる)ので、性能に対する価格・コストパフォーマンスの面ではリムブレーキの方が高いでしょう。

モノが豊富→選べる

これもプレステ4と同じで、フレーム(ハード)の数自体が多いので入手が簡単です。名作と言われるソフトも多数あるように、カスタムするパーツも選び放題。

ディスクブレーキ仕様のバイクは確かに高性能ですが、性能と金額のコストパフォーマンスが良いモデルはかなり限られています。結果、値上がりや買えない状況が続いているわけです。

もちろんディスクブレーキ・プレステ5はめっちゃ良いです。でもさすがに品薄でほとんど買えない・乗れないのはそれ以前の問題です。

メンテしやすい/経験・情報が豊富

メンテがしやすい、というのは少し語弊があるかもしれませんが、構造上ワイヤーで機械を引っ張って動かしているだけなので油圧・機械式DISCと比べて多少雑に扱ったり組んだりしてもそれなりに動いてくれます。

ワイヤーで引っ張ってるだけ

また、ショップの方のメンテナンス経験もまだまだリムブレーキの方が多いと思います。経験値が蓄積され、慣れた作業であれば素早く正確にメンテナンスを終わらせることができ、その分工賃も抑えることができます。(これは、大手量販店のママチャリのパンク修理をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います)

また、トラブルシューティングも対応しやすいです。

新品の補修部品もヤフオクや通販で買えたりします

あと、これまでの積み重ねやレビューブログが豊富なので、パーツ交換の際に互換性や情報収集が結構しやすいです。

もっとも、ディスクブレーキ関連のレビューもかなり増えてきていると思いますが。

デメリット・懸念点

では、次にデメリット編です。あくまで「DISCブレーキと比較して」という側面で回折します。

ブレーキ性能は一歩劣る

当たり前の話ですが、リムブレーキよりディスクブレーキのほうがブレーキは良く効きます。日常の挙動・雨の日や悪路走行を積極的にするのであればディスクブレーキのほうが良いと思います。

とはいえ、リムブレーキが全然効かない!というわけではない(プロから一般ユーザーまで、ずっとそれで乗っていた)ので、どこまで重視するかはその人次第です。

物理的にパッド部分が露出しちゃうので、雨や汚れには不利

もっとも実際にディスクブレーキを乗り回してみて感覚に慣れてしまうと、リムブレーキに戻れない…と筆者はなりかけましたが。笑

ローターとパッドの相性問題はありますが、ブレーキ性能は断然ディスクブレーキのほうが良いです。

ハイエンドの絶対性能差

現行のフレームはディスクブレーキをベースに開発されています。その技術が詰め込まれたハイエンドモデルのエアロ性能・軽量性は半端ないです。一世代前・二世代前のリムブレーキ仕様のハイエンドモデルと比較して、現行モデルよりも性能が良いなんてメーカーはほとんどありません。

そのため、予算度外視でホイール・フレーム・各種パーツを考えた場合の絶対的な性能で見ればディスクブレーキに軍配が上がると思います。

掃除がだるい

これは明確なデメリットですね。

リムブレーキの場合、アルミリムだとリムの汚れが結構目立ちます。またブレーキシューのカスがフレームやホイールに付着していく分、洗車の際の掃除はディスクブレーキよりめんどくさいです。

将来性が無い

各メーカーの開発部門はもう完全にディスクブレーキに乗り換え、リムブレーキはどんどん撤退していくでしょう。そうしないと、大手メーカーとの競争に負けてしまうので。

今後、リムブレーキ→ディスクブレーキの移行をフォローするGROWTAC Equalのような製品は出てきても、リムブレーキモデルのホイールや新製品はどんどん少なくなるのではないでしょうか。

これもプレステ4と同じで、ゲームメーカーはもうプレステ5用のソフト開発に移っているハズです。プレステ4用のソフトを今から新開発する!というメーカーがいないように、リムブレーキ用の製品を新開発する!というメーカーはほとんどなくなると思います。

リムブレーキは今後なくなる?

(開発からは)なくなる

今後、メーカーの開発部門からリムブレーキの存在はどんどん消えていくでしょうね。新しい新製品を売って売り上げを立てる、利益を出していくのがメーカーの本懐なわけですから。

これまで頑なにリムブレーキに対して否定的だったコルナゴピナレロをはじめとするヨーロッパブランドですら上位モデルはディスクブレーキ一色です。そしてその余波は徐々にエントリーモデルにも及ぶでしょうね。

市場から消えるわけではない

ただ、これまで使われていたリムブレーキバイクやパーツ類が一切消えてなくなるかというと、そんなことはありません。

売店には在庫が残っているでしょうし、中古市場であればそれこそよりどりみどり。ディスクブレーキへの移行をきっかけに市場にある車体の数は増えています。

実際、日本のプロレースの現場でもリムブレーキバイクを使うチームは多数あるわけですから、今すぐなくなるということはありません。

今買うなら中古がお得

ということで、リムブレーキバイクを今買うなら中古が圧倒的にお得です。

そもそもDISCブレーキモデルと違って出回っている数が多く、また乗り換え需要でこれまでのハイエンドモデルからエントリーグレードにかけて価格が落ちつつあります。性能が落ちているわけでもないのに勝手に価格が下がっているわけですから、コストパフォーマンスという面で見ればかなり高いと言えるでしょう。

リセールバリューが落ちにくい

ロードバイクは開発周期がかなり長い・明確な性能差を示すのが難しいこともあり、パーツ・ホイール・フレーム等通じて人気のあるモデルであれば大きな値崩れが起きにくいです(たまに、海外通販の新品投げ売りを通じて一時的に価格が落ちる場合がありますが。)

例えば、今も9000世代のデュラエースあれば中古市場でもクランク一本30000~35000円はします。発売から10年近く経つにもかかわらず、ですよ。

これがスマホやPCだと、新モデルの発表が発表されるのが1年周期だったり、毎年CPUの性能が軒並み上がったりする結果、中古価格の下落がまあまあ激しいです。

ロードバイクはモデルチェンジするのに3~4年かかるとかザラですし、ここ20年で革新的な性能・コストパフォーマンスを示して市場勢力図の塗り替えに成功したのは直販のCANYONくらいだと思います。(もちろん、コスパに優れたアジアンブランドも多数ありますが、ユーザー数で言えばまだまだこれからでしょう)

発売当初や中古市場で人気のあるモデルであれば、中古で買って1~2年乗ったところで、同じ状態ならそこまで大きく価値が落ちることは考えにくいです。

「買ってみて合わない・ダメなら再度売ればいい」ぐらいの考えで、中古ロードバイクをためしてみるのは十分ありだと思いますよ。

こんな人にオススメ

・車体の予算は20万円までに抑えたい人(新品購入の場合)

・車体の予算は10万までに抑えたい人(中古購入の場合)

・コストパフォーマンスの高さを重視したい人

・金銭的な余裕がちょっと厳しい…という人

・乗り始めてから色々自分でカスタマイズしたい人

・見た目よりも性能重視・コスパ重視の人

・とにかく軽いバイクが欲しい人

 

ざっくりとこんな感じですね。それでは~